「どうしてできないの?」をやめたら部下が変わったはなし

何回言っても改善されない…!
「何回言っても資料を提出しない…。」
「何回注意しても、
どうしてできないんだろう。」
何回言っても事務仕事が進まない。
利用者さんとの関わり方が変わらない。
福祉現場のリーダーさんから、こんなお悩みをよくお伺いします。
私も福祉職時代、同じ様な想いをしてきたのでよくわかります。
「何度も同じことを、
もうこれ以上言いたくない。
けれど、放っておくわけにはいかない。
スタッフができないのは、 私の責任でもある。」
「結局、利用者さんに迷惑がかかってしまうから私が、なんとかしなくちゃ。
厳しく言うしかない! 嫌われながらでもいい!」
と、何とかしようと奮闘する。
そして部下を前にすると、
「前にも言ったよね!?」
「どうしてできないの!?」
そんな言葉が、つい口から出てしまい、
ピリピリした空気感が漂ってしまう。
部下は
「すみません・・・。」
と、下を向いて話しが進まなくなってしまう。
「責めたいわけじゃなくて、状況を知りたいからきいてるのに。
どうして黙ってるんだろう!?」
と深いため息が出る。

きっと、あなたは利用者さんのことも、
スタッフのことも、
大切に思っているからこそ解決に向けて
コミュニケーションをとろうとしている はずです。
それなのに、この結果だとやりきれない気持ちになりますよね。
この様なやりとりを繰り返して 改善されれば良いのですが、
何度言っても改善されないのであれば、
ここで一度、立ち止まって考えてみたいことがあります。
「スタッフへの問いかけの仕方は どうだっただろう?」
「スタッフの言い分は、 どんなものなんだろう?」
と、いろんな角度から見てみると
改善のヒントをみつけられるはずです。
「改善されない」の背景は、一人ひとり違う
たとえば新人スタッフなら、
上司からは
「Aにするように。」
と言われたけれど、現場では利用者さんから
「Bにしてほしい。」
と言われ、迷った末にBを選んだ。
そのことを上手く報告できずにいるだけかもしれません。
一方でベテランスタッフなら、
「今までこのやり方でやってきたし、早い。」
という自負があり、変える必要性を感じていないのかもしれません。
どちらも、あなたの目には
「言うことを聞いていない。」
と映りがちですが、本人なりの理由があるのです。
その他にも、改善されない理由は、
- 知識や技術が足りない
- 忙しくて実行する余裕がない
- 自分ができていないことに気づいていない
- 上司の指示していることに必要性を感じていない
など、さまざまな可能性があります。
つまり、
「何度言っても改善されない。」
という結果が同じでも、 その背景は一人ひとり違います。
そうなると、
「スタッフが話しやすい聴き方」
と
「スタッフがわかる伝え方」
に工夫した対話が必要になります。
実際に、
こんなご相談がありました
私のクライアントさんで、
福祉現場のリーダーをされている方から、こんなご相談がありました。
「中堅スタッフのHさんが、新人スタッフのKさんを
指導してくれているのですが、
『何度注意しても改善されないんです。』
とHさんから報告を受けました。
Hさんも、かなりイラついて
あまりよい雰囲気ではありませんでした。
どうしたらいいだろうか?」
Hさんは、いい加減に指導していたわけではありません。
忙しい中で、時間を割いてKさんに向き合っていました。
そしてKさんも、サボっていたわけでも、
やる気がないわけでもありませんでした。
そこで、まず一緒に考えたのは、
Kさんの
できていないところ
だけを見ていないだろうか?
ということでした。
指導する立場になると、どうしても
「ここができていない」
という部分に目が向きやすくなります。
でも、それだけだと部下はピリピリした空気感を察知して、
本来必要な相談がしにくくなり黙り込んでしまいます。
Hさんも
「言い過ぎたかな」
と、仕事から帰っても悶々と悩んでいました。
だからここで改めて、
「プラスの側面」
にも目を向けてほしいのです。
「どこまではできているんだろう?」
「不十分ではあるけど、
頑張ってやろうとしていることは何だろう?」
と、既にできているところや、本人の努力にも
目を向けてみるのです。
マイナスの側面=できていない所・注意したくなる所
と
プラスの側面=できている所・安心して見守れる所・本人なりに努力している所
の両方を平等にみる目を持つと
見え方も、声のかけ方にも大きな変化が生まれます。
森 ゆきこ私自身、時と場合によって
「マイナスだけ」、「プラスだけ」に偏った見方をしている事に気づきました。
プラス・マイナスの両方を平等に見る!という見方のクセを付けていくと人材育成だけでなく、利用者さん支援にも活かされますよ
Kさんには、プラスの視点を強化して、
日々声をかけてもらいました。
すると、
「自分のことを否定されているわけではないんだ。」
「頑張りもちゃんと認めてもらえている。」
という安心感が生まれ、本来必要な対話が、
お互いできるようになっていきました。
そして、
「上手くやれているところはある?」
「変えたくない部分はある?」
「どこから難しく感じる?」
そんなふうに、
本人の言葉を聴いてみるのです。
もちろん、上から目線で、取り調べのように
質問を並べても、本音は出てきません。
大切なのは、
「一緒に考えたい。」
「あなたのことを理解したい。」
というスタンスで関わること。
リーダー自身がその姿勢を持っていると、
言葉と共に雰囲気や表情などの非言語と共に
部下には伝わります。
そうやって聴いていくと、
「基本の手順はやれているけど、
ちょっとしたコツを教えると上手くいきそう!」
ということが見えてきました。
さらに整理していくと、
利用者さんと関わる中で
「上手くやらなくちゃ。」
という緊張や焦りが、ミスにつながっていたことがわかりました。
そこで、先輩スタッフからコツを伝授すること、交代するタイミングで一声かけてもらうことにしました。
後日、
「順調に仕事を進めてくれるようになりました!」
と、報告をいただきました。


原因探しで終わらせず、本来の目的に向かう
ここで大切なのは、原因を探して、誰かを責めることではありません。
Hさんが悪かったわけでも、Kさんが悪かったわけでも、もちろんリーダー自身が悪かったわけでもありません。
大切なポイントは以下の2つです。
きっと、そこからあなたと部下の関係は、
少しずつ変わっていくはずです。




